2009年(ブルガリア日本外交復興50周年) ブルガリア旅行記の記憶から
2016.07.03

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バラ祭りで選ばれたバラクイーン/写真提供 Enio Bonchev Production Ltd.

 
毎年6月の第一週末に開催されるバラ祭りは、ブルガリアを代表するフェスティバル。バラの収穫を祝い、バラの谷と呼ばれるカザンラク地域一帯で行われます。民族衣装に身を包む現地の人々、選ばれたバラクイーンの戴冠式など見所満載。観光客も大勢訪れます。ブルガリアンローズとも呼ばれるダマスクローズ。この地域の土壌と天候のもとで芳醇な花を咲かせます。
 
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バラ祭り/写真提供 Enio Bonchev Production Ltd.

 

花の収穫期は5月中旬から6月初旬。芳醇なダマスクローズの花精油を得るには、たっぷりと香気成分を含んだ明け方から午前の間に摘まれたばかりの花が必要。太陽光を浴びすぎると大切な香り成分が揮発してしまうからです。花弁は一つずつ熟練者による手摘みで。摘まれた花は直ちに蒸留所に車で運ばれます。3〜4tの花から得られる精油はおよそ1kg程度とのこと。
 
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バラの花弁が集められた蒸留所/写真提供 Enio Bonchev Production Ltd.

 
2009年はブルガリア日本外交復興50周年。その前年私は、1905年創業の株式会社元林の方からブルガリアンローズを活かした商品企画を依頼されていました。そこで、素材のままで素晴らしい香りをもつ稀少なローズ精油を生産地と収穫年を明記し、ブルガリアが誇る品質保証を添えて先行予約で販売する方式を提案。まさにワインのように、収穫年の香りを楽しむために。
 
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ダマスクローズ/写真提供 Enio Bonchev Production Ltd.

 
数社からサンプルと文書によるプレゼンテーションを取り寄せ、選んだのはエニオ・ボンチェフ社。決め手となったのは、検討するに十分な量の芳醇なローズオットーと英語で記された100年の社史でした。精油の蒸留が終わり品質チェックが行われる7月という時期に合わせて、株式会社元林の担当者2名(現社長と当時の営業スタッフ)と共にブルガリアへと向かいます。ブルガリアの首都はソフィア。空港での澄んだ爽やかな空気、遠くに見えた山のラインの美しさは印象的でした。フィリップ・リシチャロフ氏(エニオ・ボンチェフ社社長)と会見した場所は市内の緑あふれる通りに佇むレストラン。香り高いワインやラキヤ(ブルガリアの伝統的な蒸留酒)と共に豊かな食材を活かした料理を頂きながら英語を媒介に様々なお話をしました。
 
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ソフィア空港、ボリス公園、フィリップ氏との写真

 
ソフィアにある「ブルガリア国立バラ研究所」。こちらでは、ブルガリアで生産されるローズ精油の一定品質が保たれるように基準値が設けられており、この基準を満たしたもののみを「ブルガリアンローズ精油」と認定しています。所長のニコライ・ネノフ氏にお話をうかがいました。パレチカが2009年以降買い付けているエニオ社の精油もこちらで認定証を発行頂いています。
 
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ブルガリア国立バラ研究所、ネノフ氏との写真、品質保証書

 
エニオ・ボンチェフ社は創業1909年。記念すべき100年目に私たちは訪問したのです。ソフィアから車でバラの谷へ。エニオ社のバラ畑含む敷地内にはこの100年の歴史をたどることのできる記念館がありました。ローズ精油の蒸留が始められたころの古い蒸留釜も残されています。現社長のお父様にもお会いし、改めて香り高いバラの栽培と蒸留への努力の歩みを知りました。
 
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エニオ社記念館にて

 
バラの谷への道中、国道の両側に広がるひまわりの眺めは圧巻でした。バラの谷の中心地、カザンラク市にある「バラ博物館」を訪問。こちらにはブルガリアのバラ産業の歴史に関する資料や写真、古い蒸留器などが展示され、より芳醇なローズ精油を追求した350年以上の歴史を感じることができます。高度な蒸留技術はラヴェンダーなど他の植物精油生産にも活かされています。
 
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ひまわり、バラ博物館にて、カザンラクの夕刻

 
エニオ社社長にお願いして、2002年抽出分〜2007年抽出分のローズ精油の香りを試させて頂いた体験は今も深く記憶に刻まれています。2002年抽出分ですら、ローズ精油の香りの骨格は損なわれておらず、さすが「香りの女王」。古いものほど落ち着きが、新しいものほど最初に軽やかな華やかさが感じられました。収穫年のうちに輸入し、酸素に触れないよう窒素充填して適温下で管理すれば、年月を経てからも一期一会の収穫年の香り、プラス熟成アロマを楽しめるかもしれない…その時の体験に基づく試みは、いまも続けられています。

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Curator profile: sawaroma<アロマセラピスト・プランナー>
人にとってポジティブな意味をもつ香り、「アロマ」の魅力の探求者。様々な香りの魅力を、様々な立場の人に活かす仕事をしています。